2025/07/23 00:00

タニシインフォメーション vol.294 2024年5月号掲載

少なくなるヒバリ


ヒバリ
 あなたのいる場所で、ヒバリの囀りを聴くことができますか? 春暖かくなるとヒバリが天高く舞い上がり、賑やかに囀ります。もし、聞くことが出来たら自然環境が豊かであると言えます。私の住んでいるところは、周りの田んぼが徐々に宅地に変貌して都市化が進んでいます。

 田んぼが綺麗に更地になり、更地になったと思ったらすぐに家が建ち始め、次から次へと工事中の家が建ち進み、一遍に住宅街になろうとしています。たった1年前は、この田んぼでよくヒバリが囀っていました。今年は当然この田んぼは宅地となりヒバリの姿はありません。しかし、幸いなことに、この地域を囲む道路の西には家があり、その傍の川原では3月中旬から囀りが例年の通り聞こえています。

 八本松町原の広い田んぼには、年中ヒバリはいる。書籍には一部漂鳥とあるので、自宅近くのヒバリは冬にはどこか暖かい地域に避難しているのかもしれない。冬の間は姿を消しているが、春暖かくなると必ず帰ってきていた。今年帰ってきてみたら、随分環境が変わり慌てて、どこかへ行ったものと思われる。

 ヒバリの鳴き声はピーチュル、ピーチュルと賑やかに囀り、餌は主に草(タデ、カヤツリグサほか)の実や昆虫(バッタ、ゴミムシ、アリほか)、クモ、ミミズなどを食べる。宅地になれば当然食料は減少し生活空間も乏しくなり、住めなくなる。このようにヒバリは環境変化には敏感で、だんだんと生息地を狭められている野鳥なのだ。


文・写真:理学博士 新名俊夫
2024年4月 記

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