2025/07/09 00:00
タニシインフォメーション vol.288 2023年11月号掲載
大空を滑空するハチクマ

ハチクマ
今年の秋はいつまでも夏日で異常な暑さが続いた。この暑さのため例年どおり鳥が渡りを始めているかどうか心配した。しかし、お彼岸の中日に西条町竜王山で行われた観察会で、例年どおりタカ類の渡りが観察された。やはり体内時計の指示どおり行動しているのだろう。
はるか東の空の小さい黒い点を見つけると、みるみる内に大きくなり、一生懸命にシャッターを押し、アッ!と言う間に頭上を通り過ぎ、大きな翼を水平に広げ、南西の空を滑空していく。また、東の樹冠の上に突然姿を現し、次の瞬間にはもう西の空へ流れている。夢を乗せて飛んでいく姿を、小さくなるまでじっと眺めている。
飛んでいるのは殆どがハチクマで、翼が広く、先は指のように開いていて黒色。下面は暗褐色に見え尾には横帯がある。また、ハチクマの渡りに交じって少数のサシバも渡っている。サシバは下から見ると翼が透き通り白っぽく見える。ハチクマより全体的に体形が小さい。ハチクマは山麓の森にすみ、主にハチの幼虫やさなぎを捕食し、カエルやヘビなども捕る。
ハチクマの渡りは山の斜面を駆け上る上昇気流に乗って、数羽から数十羽がむれになって上昇して行き、上空まで登りそこから翼を広げ、一気に羽ばたくことなく滑空していく。
この姿はタカ柱と言って、竜王山からは北北西20~30Kmのところでよく見られる。
文・写真:理学博士 新名俊夫
2023年10月 記
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