2025/05/28 06:00

タニシインフォメーション vol.270 2022年5月掲載

清楚な姿をしたタカブシギ

タカブシギ(東広島市西条町寺家の蓮田)

タカブシギ
 タカブシギは旅鳥で春と秋の渡りの時期にやってくる。渡りの場所は内陸の田んぼや蓮田にやって来ることが多い。春と秋に毎年やってくるが最近は単独のことが多い。比較的ゆったりと採餌し、私が観ていると用心深く餌を啄むのを休む。50~60mも離れていてもこちらのことが気になるらしく、畔に上がりじっとこちらを注視して佇む。雌雄とも同色で区別できない。全身灰褐色に見え、羽縁が白いのが斑点のように見える。胸はうすい灰赤褐色の斑点で、背中や羽はつやのある茶褐色で覆われている。足は比較的長く、黄色く見える。長い嘴は黒く真っ直ぐに伸びる。大きさはキジバトくらいか、やや小さい。あまり鳴かないが、ピィピィピィピィと鳴く。

 水の張った田んぼの向側に見つけたが、タカブシギの方が先に気付き、じっとして動かない。傍にいたタシギは何食わぬ素振りでいそいそと餌をあさっているのに、随分と用心深いものだ。しばらくしてやっと動いたが、タシギと比較すると随分ゆったりとしている。しかし、旅の途中なので栄養補給が必要なのだろう、採餌のため動き始めた。

 田んぼの端の畔の下をゆっくりと進み、引き返してくる。こちらを気にしながら進み、時々足を止める。こちらをじっと注目して、また動きだす。いつまで見ていても飽きない。比較的広い農道で車の少ない2車線であるが、長居は出来ぬのでその場を離れたが、タカブシギたちは飛び立たなかった。

 次の日ももう一度現場を訪れたが、タカブシギもタシギもそこにいた。多分、2~3日は留まるのではないかと思われる。十分に栄養補給をして長い旅を乗り切ってもらいたいものだ。そうして、秋には幼鳥を連れて帰ってきてほしいものだ。


文・写真:理学博士 新名俊夫
2022年5月 記

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