2025/05/14 06:00

タニシインフォメーション vol.262 2021年8月掲載
忙しく啄(ついば)むアカエリヒレアシシギ

アカエリヒレアシシギ成鳥♀(2021.4.24. 東広島市西条町)
アカエリヒレアシシギ
町内の田んぼにアカエリヒレアシシギのメスがいるとの情報で急いで行ってみた。2021年4月24日午後3時頃のことだ。水をはった田んぼの真ん中に足が立っているのか泳いでいるのか良く分からない。腹は完全に水につかっている。大きさはスズメより少し大きい。嘴(くちばし)を盛んに水中に突っ込み採餌している。ひっきりなしに頭を上下させて餌をとっているので餌は無数にあるようだ。餌は透明な糊状のもののようだ。
乗用車がやっと通れる細い農道の車上から取り敢えず写真を撮って、すぐにそこから離れた。農道だが市街地に通じる数少ない道なので車がよく通るからだ。しばらくしてもう一度、良く観察しようと舞い戻ったが、もうそこには居なかった。
アカエリヒレアシシギの嘴は雌雄ともに細く黒い。メスの夏羽は額と顔が黒く、目も黒いのでどこにあるのかはっきりしない。首から胸にかけて赤褐色、背中は黒色だが羽縁が白や赤褐色で縁取られている。腹は白い。オスは全体に色が薄く、メスより地味であり、子育てもオスがするようだ。冬羽は雌雄ともに全体的に白くなり、過眼線が黒い。背中も黒いが腹は白い。
アカエリヒレアシシギは旅鳥で主に海岸付近を渡り、内陸を渡るのはまれである。ところがその1か月後の5月27日のお昼前、今度は西条町吉行の田植えをされたばかりの田んぼに15羽もいて、全員が水の中に嘴を忙しく上げ下げして採餌している。この集団は色鮮やかなメスが11羽と圧倒的に多い。どこかにオスを残してきたのだろうか? さらに6月5日には東広島市豊栄町で傷ついたアカエリヒレアシシギ1個体の報告があった。
文・写真:理学博士 新名俊夫
2021年5月11日 記
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